里帰り出産に反対です-夫の主張-やっぱり里帰り出産させなくて正解でした。

出産は夫婦でするもの

2児の父親です。一人目は里帰り出産をしました。しかし、2人目出産の際は「反対」を強く主張し思い止まらせました。

結果的に、長男(1歳)との関係も深まり、第2子出産日当日も、家族全員で過ごすことができ、大正解でした。

妻も里帰りしなくて良かったと言っています。

これから出産をする旦那さんへ

「里帰り出産に反対だ」という旦那さん、実は結構いると思います。奥さんとその家族に強く迫られ、どうしたものか?と悩んでいる方も多いのでは?そんな方のご参考になればと思います。

個人的には、旦那さん自身の考えを貫いてほしいと私は考えています。妻のためを思えば仕方ないかな、と流されるのではなく、確固とした意見を持ちましょう!そこから育児への参画が始まります

出産に必要なのは、

妻の実家ではありません、「あなた」なのです。

出産する奥様にも

また、里帰りについている悩んでいる奥様にも、ご参考にしていただき、「家族」というもの、「夫婦」というものについて、再考する機会にしていただければ、ありがたいです。「出産する大変さを知らないからだ」と怒りの声を上げたくなるかもしれません。子どもの出産が夫婦の問題であることを是非心にとめていただければと思います。

いろいろ個別の状況があり、複雑でセンシティヴな問題もはらみ、絶対的な解答はないですが、育児を夫婦でしたいと思っているのであれば、ご一読ください。

親元でリラックスして何が悪いんだ!と罵声を上げる方は、読まないようにしましょう!(時間の無駄です)

里帰り出産の「常識」を疑う

「里帰り出産」が当たり前だ、という話を、私は妻から初めて聞きました。私の中の常識では、なぜ遠方の実家に帰って出産するのか、全く理解できなかったというのが、本当のところでしたし、これまで周りの女性からも「里帰り」をする人の話をあまり聞いてきませんでした。

私自身が30代前半まで海外勤務だったせいかもしれませんが、様々な国で、例えば、アフリカ等の僻地で邦人のご家族が出産をされた話を聞いて、大変驚き、そのたくましさに感心したことはありましたが、日本国内にいながらにして、なぜ?実家に?というのは率直な疑問でした。

日本の出産情報誌では、「里帰り出産」の特集が組まれ、それが普通であるかのように喧伝されているのを知っていますが、でも、それって国際的にはマイノリティなように感じます。

旦那との夫婦関係を大切にせず、自分がラクしたいがために親に頼って里帰り出産をする妻と、最初から育児にかかわることを放棄し、家族よりも仕事を優先する夫。

フランスの常識に当てはめると、日本の「里帰り出産」はこのように思われてしまうのだが…


なぜ日本人は「里帰り出産」を選ぶのか?日本の出産事情が厳しい理由4つ

フランスの「常識」では、どうも「里帰り出産」はよく思われていないようです。また、多くの欧米人からしてみれば、夫婦の出産に、なぜ里帰り?という意見は少なくありません。もちろん欧米人も様々ですから、批判はあるでしょうけど、里帰り出産はグローバルスタンダードではないようです。

里帰り出産は日本の伝統文化だ!

「グローバルである必要はない」「ここは日本です」そうおっしゃる奥様もいるかもしれません。その通りです。

日本には,妊娠した女性が出産前後に婚家から実家に戻り,一定期間実家の援助を受ける「里 帰り」という他の先進国にはない慣習がある。


小林由希子 ・ 陳省仁 「出産に関わる里帰りと養育性形成」 北海道大学大学院教育学研究院紀要, 106: 119-134 , 2008

確かに、里帰り出産に関わる研究史の中では、「里帰り出産」とは、 出産前後の里帰りは日本の伝統的文化であり,嫁である女性が実家に帰ることによって産前産後の休息をとれるよう考慮された子育て支援システムであったとの評価もあります。

しかし、私たちは本当に伝統的文化として「里帰り」を位置づけているでしょうか?だとしたら、夫婦間でそれほど対立は生まれないはずです。(お悩み相談で、「夫の不理解」、「妻のわがままに付き合いきれません」などと叩かれないはずです)

古風な考えをもつ奥様で、かつ、ご実家やその地域に文化が残存しているのなら、きちんと旦那も耳を貸すべきでしょう。

しかしながら、実際は子育ての周囲環境が変化しており,里帰り先の実家がすでに核家族であったり、地域共同体が崩壊しているのなら、伝統的な機能は働かないのではないでしょうか。

そもそも日本の「伝統的な」子育て支援システムが断絶してしまい、「里帰り出産」が伝統や慣習として周知されず、そのような理解がないからこそ「もめる」のです。

そもそも里帰り出産はいつから

里帰り出産の慣習は江戸時代に定着したと言われます。

封建制度の結果,嫁は一家の労働力としての価値と義務が与えられました。当時の嫁の地位 は低くいのにもかかわらず、労働力を期待されていたため,出産前後の数ヶ月間,この期間は労働力として価値が無いこと,産の忌みもあり,婚家ではなく実家で休むことを許されていたと言わ れている。


大村 清「里帰り分娩-社会的事項を中心に」『周産期医学20』503-508,
1990 

「(妊娠・出産で)働けないなら、実家に帰ってくれ!」

そう言われたら、怒り心頭でしょう。そんな夫とは離婚すべきです。

しかし、「里帰り」の本来的な意味には、このような女性蔑視が根本にあったということも忘れないでください。

明治以降は、「里帰り出産」が奨励され、日本の出産育児の慣習として定着していきます。

明治以後から戦前は,出産は「初産は実家に戻ってする」のがどの県においても一般的であり,分娩前数ヶ月から妊娠9ヶ月 の末には嫁は婚家から親里(実家)へ帰って出産し,里帰りの期間は全期間で3ヶ月以内が望ましいとの習わしがあり,産後は約1ヶ月滞在した後,婚家に戻っていたようである。初 産の場合には産後の育児も母親となる女性の親里において,実母の支援を受けることが奨励されていた。


日本産育習俗資料集成(母子愛育会,1975)

伝統的な「里帰り出産」の断絶 「出産」は病院で!

里帰り出産が日本の伝統的な慣習であったことは既に述べましたが、この「里帰り出産」の様相を大きく変えたのは、出産が医療の範疇に入ってきた敗戦後のことです。自宅等で行われた「出産」が、医療施設で行われる「分娩」に変わったことで、医療者の観点から「里帰り出産」の評価が行われ始めます。

出産が「家」から「病院」でするものになり、大転換がもたらされました。

1970年代後半から、里帰り出産(分娩)が増えてきます。 高度成長期に入り、若者が都市部へ移動流入するようになり、結婚相手も同郷の範囲を超え、より遠距離の人間と結ばれるようになったからです。それと同時にメリット・デメリットが議論されるようになりました。

里帰り出産のメリット・デメリット

代表的なメリット

「実家に帰ると夫以外の者の助力や人手を得やすい」
「人手のほかに生活環境の点でも実家のほうがすぐれている」

代表的なデメリット

「妊産褥婦と新生児が 長時間の移動を少なくとも2回は強いられる」
「一貫した指導を受けにくい」
「産科異常がやや 高率」
「親や実家に依存する癖,本当の意味での夫婦愛や家庭が確立されにくい」
「家庭内での母親や父親の役割や子どもの位置の確立にきわめて重要な時期であるのにこの過程が極めて不自然になる」

今にも通じるものも多いのではないでしょうか。

この時代の見解は、「里帰り出産」反対が多数派を占めていました。というのも里帰りでの異常分娩が報告され、当時の医療(または交通機関等のインフラ)の状況においては「リスク」が高かったからです。

しかし近年は、里帰りと非里帰り分娩間における医学的異常発生に差はないことを明らかになり、 現代の産科医療における里帰り分娩は必ずしもリスク要因とは言えないようです。

つまり、医療的なリスクがあるから、「里帰り出産」に反対するのは難しい状況です。

ただし、助産師からは批判的な意見が多く聞かれます。

助産師教育に使用されている教科書上で, 里帰り分娩(出産)について、次のように記されています。

「核家族化がすすみ,女性の地位も向上してきた現代ではほとんど意味がなく,むしろ特に第1子の場合,夫婦が力を合わせて育児体験を共有することがその後の夫婦関係からも望ましい」


中根直子「出産場所の選択」青木康子(編)『母性保健をめぐる指導・教育・相談そのⅡ』
東京:ライフサイエンスセンター  1998 pp.56-59.

「夫婦で育児体験を共有する大切さ」を旦那さん自身がしっかり訴えることがポイントです。

大事なのは「里帰り出産」がもつ社会的な視点

出産後の夫婦親子の関係について、どうしていきたいか、「里帰り出産」反対の旦那さんはしっかり考え、可能であれば、妻に言葉にすることができれば、あなたの訴えが通じる可能性が高まります。

「里帰り出産を絶対にしない」と強く決意する女性もいます。

そのような方の大きな拠り所が、里帰り出産をすると「親子関係が築きにくくなる」とか、「父親としての自覚がでにくい」といった危惧を抱いているからです。

女性の立場で里帰り出産に反対する方は必ず以下の問題を挙げます

①父親としての実感や自覚が生まれにくい、もしくは実感するのに時間がかかる。

ワーキングマザーサバイバル

研究においても次のように報告されています。

父性意識について,父親 としての自覚が強く出てくる時期が遅れる傾向が指摘されている。


玉田太朗・阿部直英・本山光博・佐藤 正・青木利恵 1988 里帰り分娩の母子保健学的研究.昭和63年度 厚生省心身障害研究「母子保健システムの充実・改善に関する研究」,453-463

数か月、時には1年近くも離れて暮らす人もいます。父親としての自覚がない(でない)といわれても仕方がない気もします。

私の知人の行員は、ドイツ単身赴任中に奥様が出産し、その際に新生児と対面したきり、1歳半まで会わなかったと言っていました。そんな状態で、自分の子・親として自覚がもてるのか、私にはわかりません。

いろいろな家族関係があってしかるべきでしょうが、里帰りをしない方が夫婦関係は良好なようです。

分娩4 週後の対象に調査を行い、里帰りを選ばなかった父親の方が里帰りを選択した父親に比べてお産時の協力、母親の生活変化の理解、育児参加、父親としての 実感が高く、里帰りを選ばなかった母親の方が夫に対する気遣いが高い結果を示した


木村恭子・田村 毅・倉持清美・中澤智恵・岸田泰子・及川裕子・荒牧美佐子・森田千恵・泉 裕之 2003 出産・子育て体験が親の成長と夫婦関係に与える影響-里帰り分娩との関連-.東京学芸大学紀要第6部 門,55,123-131

親子関係も良好になるはず?!

里帰り出産をしない方が、親子関係も良くなるのではないか、という意見もありますが、残念ながらエビデンスはありません。

逆に

分娩後の夫婦関係に非里帰り群との差はなく,児に対する夫の戸惑いも特になく,母親の育児不安にも差はない


玉田太朗・阿部直英・本山光博・佐藤 正・青木利恵 1988 里帰り分娩の母子保健学的研究.昭和63年度 厚生省心身障害研究「母子保健システムの充実・改善に関する研究」,453-463

父親の子育て不安やストレスに関して,里帰り分娩の有無で差がなかった


木村恭子・田村 毅・倉持清美・中澤智恵・岸田泰子・及川裕子・荒牧美佐子・森田千恵・泉 裕之 2003 出産・子育て体験が親の成長と夫婦関係に与える影響-里帰り分娩との関連-.東京学芸大学紀要第6部 門,55,123-131.

結局のところ、里帰りしてもしなくても父親の子育てには影響がない。

ということです。だったら、 「妻の身体的,精神的サポート,育児支援を得るための十分な効 果がある」 里帰り出産を選択することになっても仕方がないのでしょうか。

さあどうする?

「里帰り出産」を主張する妻に分がありそうです。

悔しいと思うあなたは

ここでひるんではいけません

このような研究で取り上げられる「父親の子育て」こそ極めて日本的な育児を基本にして比べられているわけです。

すなわち、男性の育休取得率5.14%(2018)

男性の1日の育児時間が39分

という日本男性の常識的な育児のことを指します。

父親の生活の変化が母親ほど大きくないこと,育児に対する関わり方では積極的に育児に参加するというよりも母親のサポ ート役として育児に参加している可能性があると考えている。


前掲書

そもそも1日39分の育児であるのなら、父子関係や育児不安なんて、考える必要もないし影響はあまりでないんじゃないでしょうか?と言われているのです。

里帰り出産に反対するあなたはここに勝負を挑まなければなりません。

不退転の決意で臨むしかない!

里帰り出産を反対するためには、里帰り出産以上のメリット感を伝えなければなりません。

家事や育児に専念する覚悟をどうしめすか、それに尽きるでしょう。

育休がとれるような職場であれば、フル活用することを伝えましょう。職場環境上難しいこともあるでしょうが、1か月間は出産育児に専念することで、あなた自身の決意も決まってきます。

育休がとれない、これが現実だと思います。わたしも極めてブラックな職場にいましたので、ありえないと思っていましたが、基本的に、あなた自身がどうしたいかで選択するしかありません。

休めないのであれば、すんなり退職(辞職)する覚悟で臨めば意外とうまくいくものです。

例え辞めたとしても、あなたはまだ若いのですから、仕事をする機会などいくらでもあります。しかし、これから産まれてくる子の出産育児の機会はもう二度とはやってきません。決して返ってこないのです。

それを犠牲にして担わなければならない職務に、多くの人は就いていないのではないでしょうか。

出産に父が関わることでどんな影響がでるのか、実際はよくわかっていません。母親の大切さに比べ、父親のプライオリティはそんなに高くないのが現実です。

里帰り出産に伴う夫婦単位の生活の一時的な喪失や新生児と父親の分離について具体的に注目した研究は存在しません。

里帰り出産がおよぼす影響のうち、親役割の獲得 や家族の発達という視点に関する研究的な取り組みも、まだ進んでいません。

特に父親との接触頻度に関する 資料はなく、里帰り出産による実際的な父親との別居状態は明らかにはなっていない。父親からの視点による里帰り出産というシステムの評価も今後の課題であると言える。


大賀明子 里帰り出産に関する研究の動向と課題 横浜看護学雑誌 Vol.2, No1, pp.64-68, 2009

だからこそ、あなた自身の行動が、新しい日本の親子関係や養育システムを作るのです。

そして、次の言葉をしっかり焼き付けましょう。

里帰り希望 妊婦の約47%が「夫の協力があれば里帰りはしない」と言っている。


木村恭子・田村 毅・倉持清美・中澤智恵・岸田泰子・及川裕子・荒牧美佐子・森田千恵・泉 裕之 2003 出産・子育て体験が親の成長と夫婦関係に与える影響-里帰り分娩との関連-.東京学芸大学紀要第6部 門,55,123-131

里帰り出産させないためには「あなたの協力」が不可欠なのです。